診療支援
治療

浮腫性硬化症
Scleredema
佐藤 篤子
(自治医科大学講師)

病態

 項部から上背部にかけて非圧痕性の浮腫と硬化を認める疾患で,膠原線維間にムチンが沈着して真皮が肥厚することによる.

【頻度】まれ.主に,糖尿病に伴う型,感染に続発する型が多く,ほかにM蛋白血症などに伴う型に分類される.感染に続発する型は,小児や若年成人に多い.糖尿病性は,肥満の中年男性が多く,糖尿病患者の2.5~14%程度に発症する.

【病因・発症機序】病因は不明.糖尿病性は,微小血管障害のため局所酸素分圧が低下し,線維芽細胞のコラーゲン合成が促進される.また,糖尿病のインスリン抵抗性に伴う高インスリン血症も,線維芽細胞からのTGF-βを介したヒアルロン酸の産生を増加させる.感染に続発する型は溶連菌過敏症との関連が示唆されている.

【鑑別診断で想起すべき疾患】全身性強皮症,斑状強皮症,粘液水腫性苔癬,汎発性粘液水腫,アミロイドーシス,Cushing症候群,リンパ浮腫,心または腎疾患に伴う浮腫.


診断

【問診で聞くべきこと】数週間前までに遡り,先行する上気道炎などの感染症の有無を確認する.特に,溶連菌感染が最も多いが,他のウイルス性疾患や.細菌感染に続発することもある.糖尿病の有無,さらに外傷後や,腫瘍,膠原病などに伴うこともあるので確認する.

【臨床症状からの診断】項部,肩,上背部にかけて左右対称性に浮腫性の硬化がみられ,淡紅色調で光沢があり,圧痕を残さない(図14-5).首や肩の凝り,重圧感などを訴える.顔面にも生じることがあり,皺が寄らない,咀嚼や発音が障害されるなど,部位により可動域,運動の制限を認める.糖尿病性やM蛋白血症に伴う型は,ゆっくりと徐々に進行する.感染症に伴うものは上気道感染後,数週間後に症状が出現する.

【必要な検査とその所見】糖尿病の検査,ASO(antistreptolysin O)値,総蛋白,IgG,IgA,IgMの定量,増加があれば,免疫電気泳動を行う

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