診療支援
治療

サルコイドーシス
Sarcoidosis
井川 健
(獨協医科大学主任教授)

病態

 サルコイドーシスは全身性肉芽腫性疾患であり,さまざまな臓器が障害される.若年者から高齢者まで発症する.世界的には寒冷地域で多くみられるとされている.侵される臓器がさまざまであることもあり,発病時の臨床症状は多彩であり,さらに,臨床経過も患者個々により異なることも特徴の1つである.肺門縦隔リンパ節,肺,眼,皮膚において所見(自覚症状の有無は別にして)がみられることが多いが,それ以外にも神経,筋,心臓,腎臓,骨,消化器など全身のほとんどの臓器が侵されうる.

 原因は不明とされているが,Cutibacterium acnes(アクネ菌),結核菌などの微生物に対する過剰な免疫反応が基盤にあるという報告がある.また,遺伝的要因として,ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のほか,複数の疾患感受性遺伝子の関与が報告されているが,いまだはっきりとしたものはない.


診断

 組織診断群と臨床診断群が存在し,それぞれが指定難病の対象となる.以下に診断基準(表17-1,図17-1)とそれに必要となる検査を記す.また,重症度分類(表17-2)についても記す.


治療

 根治療法はなく対症療法となる.症状が軽微で自然改善が期待される,あるいは症状の変化がない場合には,無治療で経過観察となる.

 臓器障害の程度に合わせて積極的な治療介入が行われる.全身的治療薬は,副腎皮質ステロイドが第1選択となる.しかし,再発症例,難治症例も多く,2次治療薬としてメトトレキサートやアザチオプリン(アザニン)などの免疫抑制薬も使用されている.抗菌薬の全身投与による治療が有効な例もある.局所的治療は,眼病変,皮膚病変で積極的に行われ,呼吸器病変に対しても時に行われる.

1.全身投与

Px処方例 状況によって下記のいずれかを用いる.

1)プレドニン錠(5mg) 1回30mg 1日1回 朝

2)メトトレキサート錠 1回5~10mg 週1

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?