診療支援
治療

環状肉芽腫
Granuloma annulare
井川 健
(獨協医科大学主任教授)

病態

 環状の配列をとる,非感染性肉芽腫疾患である.真皮の膠原線維の変性と,それに対する生体反応としての肉芽腫(柵状肉芽腫)が形成される.病変は皮膚に限局するが,古くから糖尿病の合併が多く報告されている.成人のみならず小児においてもみられる(図17-2)


診断

 環状を呈するという特徴的な臨床所見より本疾患を疑い,組織学的検査を行うことにより診断される.鑑別疾患として,皮膚サルコイド,リポイド類壊死症,annular elastolytic giant cell granulomaやリウマチ結節などが挙げられる.いずれも組織学的検査を含めて総合的に判断するが,時にきわめて鑑別困難な症例もある.

【必要な検査】診断を確定させるための検査としての組織学的検査は必須である.アルシアンブルー染色のようにムチンの沈着を確認する特殊染色は診断に有用である.また,前述のように,多く報告がある糖尿病をはじめとして,悪性腫瘍,HIV感染,HCV感染,自己免疫疾患など,ほかにもさまざまな合併症が報告されており,それぞれについて検討を行う必要がある.


治療

 組織検査を行ったあとの自然消褪がよく観察される.また,糖尿病などの合併症がみつかった場合には,そちらの治療と並行して行う.ただし,皮膚科的な治療としては,著効する治療法があまりなく,ステロイド外用やトラニラスト(リザベン)の内服など保存的な治療が主体となる.紫外線療法の有効性も報告されており,試みてもよい.

Px処方例 下記を併用する.

アンテベート軟膏(10g) 1日2回 朝・夜 塗布

リザベンカプセル(100mg) 1回1カプセル 1日2回 朝・夕食後

□患者説明のポイント‍ 治療に難渋する可能性についてしっかりと説明しておく必要がある.また,合併症が存在する可能性についても説明し,それらについての精査を行う必要についても説明を怠らない.

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