診療支援
治療

免疫チェックポイント阻害薬による薬疹
Drug eruption caused by immune checkpoint inhibitors
野々村 優美
(国立病院機構京都医療センター)

病態

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI,表18-8)は,細胞傷害性T細胞を活性化することで抗悪性腫瘍作用をもち,免疫機構を介した多彩な皮膚症状を呈する.本項では,頻度の高い代表的な皮膚障害,および注意すべき重篤な皮膚障害について述べる.


診断

 下記の各論を参照されたい.ICIの有害事象としてGrade 1~4の重症度アセスメントも行う.

Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)v 5.0日本語訳JCOG版がオンラインで参照可能である.


治療

 臨床像と診断,治療,予後について以下に述べる.

1.紅斑,発疹(いわゆるskin rash)

 単剤投与で20~30%,併用療法で30~60%に生じる.

1)紅斑丘疹型

 多くは2~3回投与後より出現,投与回数を重ねるごとに症状は重症化する傾向にある.皮疹は主に体幹に分布し,病変はやや隆起する色調の淡い紅斑で,頂部は平坦で癒合傾向を有し,瘙痒を伴うことが多い.ステロイド外用でほとんどの症例が軽快しICIの継続が可能である.重篤な皮膚症状〔苔癬型反応,乾癬,類天疱瘡,Stevens-Johnson症候群/中毒性表皮壊死症(SJS/TEN)など〕の先駆症状の場合があるため,治療抵抗性や非典型的な皮疹がみられる場合には,皮膚生検を含めた精査を行う.

Px処方例 下記を併用する.軽症であれば単独でも可.

1)マイザー軟膏 1日2回 塗布

2)アレグラ錠(60mg) 1回1錠 1日2回

2)苔癬型反応を伴う発疹

 紅斑を呈する皮疹のうちで病理組織学的に苔癬型反応(lichenoid reaction)を伴うもの.ICI開始後数週間以降に発生し,一般的な紅斑丘疹型薬疹と比較するとやや遅く,より重症の傾向にある.臨床像は多彩で,典型的な扁平苔癬,鱗屑を伴う肥厚性の丘疹・局面,種々の皮疹の混在などの

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