診療支援
治療

光線過敏症の概念と分類
Concept and classification of photosensitive disorders
森脇 真一
(大阪医科薬科大学教授)

病態

 光線(紫外線,可視光線,赤外線)の直接曝露を受けたあとの皮膚にはさまざまな変化や異常が出現する.そのなかで「健常人が照射されても何ら皮膚に異常をきたさない波長領域あるいは低い線量の光線(主として紫外線,時に可視光線)の曝露で,光線露光部位に限局して異常な皮膚反応を呈する疾患群」を光線過敏症と定義する.日常診療において「外出のたびに異常な日焼けをする」,「最近日焼けをしやすくなった」,「顔面など露光部のみの皮膚に異常が出現して悪化してきた」などという主訴で患者が来院した場合には,年齢にかかわらず光線過敏症を含む光線関連皮膚疾患を念頭において,確定診断のための各種検査を積極的に進めていく必要がある.光線過敏症患者のQOLは非常に低いため,できる限り早期に確定診断を下すこと,適切な治療,指導を実施することが患者,患者家族によって有益となる.

【分類】光線関連皮膚疾患の分類を表19-1に示す.光線の関与で生じる皮膚の急性変化〔日光皮膚炎(サンバーン)〕,慢性変化(光老化,露光部皮膚癌)はスキンタイプ,生活習慣,遺伝的背景による個体差はあるものの誰にでも起こりうる変化であるため,厳密には光線過敏症ではない.光線過敏症は限られた患者のみに発症し,外因性,内因性,遺伝性,代謝異常,感染症関連などさまざまな原因,病態で発症する種々の疾患が含まれる.外因性では光接触皮膚炎,薬剤性光線過敏症(光線過敏型薬疹),内因性では多形日光疹,日光蕁麻疹,慢性光線性皮膚炎など,遺伝性では色素性乾皮症,Cockayne症候群,その他単一遺伝子異常関連のポルフィリン症など,また代謝異常関連では晩発性皮膚ポルフィリン症,ペラグラ,そして感染症関連(EBウイルス)では種痘様水疱症が含まれる.また,太陽光線の中の赤外線や可視光線による温熱作用,血流増加作用で皮疹が一見増悪するようにみえるアトピー性皮膚炎や酒さ

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