診療支援
治療

面皰母斑
Nevus comedonicus
石浦 信子
(JCHO東京新宿メディカルセンター部長)

病態

 黒色面皰様の点状角栓の集簇を特徴とする比較的まれな母斑である.出生時,幼児期または小児期に発症し,男女差はほとんどない.

【病因・発症機序】面皰母斑は,黒色面皰様の点状角栓の集合からなる母斑で,限局性の毛包奇形である.病因として,面皰母斑の病変部においてApert症候群でみられるものと同一のfibroblast growth factor receptor 2(FGFR2)遺伝子変異を認めた報告があり,FGFR2遺伝子変異の体細胞モザイクの可能性も指摘されている.また最近では,面皰母斑の病変部においてNEK9遺伝子変異が報告されており,この遺伝子の体細胞モザイクも病因の1つと考えられている.

【臨床症状】多数の黒色点状角栓を有する面皰様皮疹が集合して,列序性,限局性に配列する(図21-6).胎生期に,皮膚へ分化する細胞は,Blaschko線に沿って増殖,拡張するとされ,面皰母斑でもしばしばBlaschko線に沿った分布を示す.ほとんどが片側性であるが,まれに両側発生例の報告もある.頭頸部,顔面,体幹,四肢のどこでも発生しうるが,上半身に好発する傾向がある.まれに手掌や足底の発生例も報告されている.多くの場合,自覚症状はない.10歳までの小児期に発症する例が多いが,軽微な面皰である場合は早期には気づかれず,面皰に続発する発赤,腫脹,結節,膿疱といった局所炎症によって初めて医療機関を受診する場合もある.臨床病型について,Sweitzer&Winerは,面皰のみのものを1型,面皰に化膿,瘻孔および瘢痕などの2次的変化を伴うものを2型と分類している.また川村は,列序性の萎縮性皮膚面上に毛包角栓を生じるものを1型,萎縮を呈さない皮膚面に集簇性に面皰様皮疹を生じるものを2型と分類している.本症には,先天性白内障,中枢神経系異常,先天性脊椎奇形・骨奇形,白斑や色素性母斑など他の

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