病態
神経線維腫症1型(NF1)は皮膚をはじめ,中枢神経系,骨などさまざまな臓器に多彩な病変を生じる遺伝性の疾患である.
【頻度】出生1/3,000の割合で生じる(人種差なし).常染色体優性遺伝(浸透率100%)であるが,半数以上は孤発例である.
【病因・発生機序】17番染色体上(17q11.2)にあるNF1遺伝子の異常により生じる.病変の多くはもう片方のアレル(対立遺伝子)へのセカンドヒットにより発生すると考えられている.
【臨床症状】カフェオレ斑(図21-29)図,皮膚の神経線維腫(図21-30)図はほとんどの例でみられる.
【特に注意すべき臨床症状】10%程度にびまん性神経線維腫を合併する(図21-31)図.
診断
【鑑別診断で想起すべき疾患】カフェオレ斑を合併する可能性のあるRASopathiesとよばれるRAS/MAPK経路に異常をきたす疾患群(Legius症候群,Noonan症候群,Cardio-Facio-Cutaneous症候群,Costello症候群,LEOPARD症候群など),NF2(後述),McCune-Albright症候群,さらに巨指趾症をきたすProteus症候群などが鑑別疾患として挙げられる.
【問診で聞くべきこと】①家族歴の有無:遺伝性疾患であるため,家族歴の聴取がまずは重要である.第1度近親者に同様の症状があるかどうかを確認する.②症状の出現時期:合併する病変はさまざまであるが,病変ごとに出現する時期は異なっているため,注意が必要である.
【臨床症状からの診断】通常,臨床症状をもとに診断を行う.国際的に用いられているNIH(National Institutes of Health)の診断基準に準じた日本皮膚科学会の診断基準(表21-2)図を参考にして診断を行う.診断基準のうち,下記の1.~3.の症状は皮膚科医であれば比較的容易に診断できる.
1.カフェオレ
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