病態
重層扁平上皮に分化する悪性腫瘍を,発生臓器を問わず一般に「扁平上皮癌」という.そのなかで,皮膚の重層扁平上皮すなわち表皮ケラチノサイトに分化する悪性腫瘍を,本邦皮膚科では特に「有棘細胞癌」とよんでいる.英語では,皮膚の扁平上皮癌(有棘細胞癌)も他臓器のそれと区別することなく「squamous cell carcinoma」と表記する.「扁平上皮癌」「有棘細胞癌」「squamous cell carcinoma」,いずれも略称は「SCC」である.
有棘細胞癌の「棘」とは,表皮有棘細胞のもつ「棘」,すなわち細胞間橋のことである.有棘細胞癌は,有棘細胞(ケラチノサイト)への分化の特徴として,細胞間橋の形成,角化,シート状の増殖パターン,ケラチンの発現を示す.
【頻度】上皮内扁平上皮癌(SCC in situ)である日光角化症とBowen病を含めれば,皮膚悪性腫瘍のうち最も多い.SCC in