診療支援
治療

疣状癌
Verrucous carcinoma
梅林 芳弘
(東京医科大学八王子医療センター教授)

病態

 疣状癌は,臨床的に疣状を呈する高分化の有棘細胞癌(SCC)の一型である.SCCのリスク分類においては,低リスクの組織型に属する.

【病因・発症機序】発生に関与するものとして,紫外線よりもヒト乳頭腫ウイルス(human papillomavirus:HPV)が注目されている.HPVが検出されたという複数の報告がある一方,検出されないことも多い.

【臨床症状】初期には疣状(図22-23),やがて増大してカリフラワー状の,外方に突出した腫瘤を形成する.表面は角化性である.腫瘤の大きさは1~15cm大で,ほとんどが単発性である.口唇,外陰部,足底に好発し,それぞれoral florid papillomatosis(口腔花菜状乳頭腫症),giant condyloma acuminatum(巨大尖圭コンジローマ,Buschke-Löwenstein腫瘍),epithelioma cuniculatumという異名でよばれている.下腿に好発するpapillomatosis cutis carcinoides(類癌性乳頭腫症)を含めることもある.


診断

【必要な検査とその所見】病理組織学的に診断する.その特徴は,非対称の外方性および内方性増殖であるが,以下①~④の点で通常のSCCと鑑別する.①表皮突起の先端が鈍で球根状である.②浸潤/破壊性の増殖ではなく,膨張性/圧排性の増殖を示す.③腫瘍細胞の異型性が乏しく,異常角化,核分裂像も少ない.④表皮内に好中球性膿瘍を形成する.


治療

a.手術療法

 疣状癌は局所で増殖し進行すると深部に進展するが,転移はまれである.よって局所制御により,ほとんどの症例はコントロール可能である.局所制御のための第1選択は手術であり,有棘細胞癌に準じて切除する.

b.放射線療法

 照射により転移能を高めるとの報告があることから,よい適応とはされていない.

c.薬物療法

 有

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