病態
高齢者の露光部に好発する皮膚原発の神経内分泌腫瘍である.
【頻度】きわめてまれであるが,近年明らかな増加傾向にある.
【病因・発症機序】一般的に約8割の患者はMerkel細胞ポリオーマウイルスの感染が発症に関与しており,その他のウイルス陰性例に関しては紫外線発癌とされる.
診断
下記のような臨床像を呈するが診断における特異的なものはなく,確定診断には組織学検査が重要となる.
【臨床症状からの診断】紅色から暗紫紅色調でやや光沢を伴い平滑で硬いドーム状結節を呈し,しばしば表面には毛細血管拡張を伴う.比較的急速な増大傾向を示し,一般的に無痛性である.
【必要な検査とその所見】①病理組織像:典型的なものではN/C比の高い小型類円形細胞の増殖を認め,腫瘍細胞はわずかな細胞質と微細顆粒状クロマチンを有する円形核からなり,核小体は不明瞭である.鑑別診断で想起すべき疾患として,他臓器の神経内分泌腫瘍の皮膚転移(特に肺小細胞癌),悪性リンパ腫,悪性黒色腫などが挙げられる.②免疫染色:CK20や神経内分泌マーカーであるchromogranin A,synaptophysin,CD56などが陽性となるほか,①で挙げた疾患との鑑別のためCK7やTTF-1,CD45,HMB-45,Melan Aなどが陰性である確認も有用である.
治療
初期治療時に転移がない症例では広範囲切除が第1選択であるが,放射線感受性の高い腫瘍でもあることから,術後照射を含め放射線治療は重要な治療選択肢の1つである.センチネルリンパ節生検によるリンパ節転移の評価は,治療や予後にも関連するため有用である(保険適用).近年,全身療法として免疫チェックポイント阻害薬であるアベルマブ(バベンチオ)も保険適用となった.根治切除不能例の場合,下記の単剤投与を行う.
Px処方例
バベンチオ薬注 1回10mg/kg 2週間間隔で1時間以上かけて点滴静注
関連リンク
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