病態
神経鞘腫は末梢神経の構成細胞であるSchwann細胞由来と考えられる境界明瞭で被包化された緩徐に増大する良性腫瘍である.脳神経や脊髄神経などの末梢神経内に発生するが,脳神経では頭蓋内,脊髄神経では脊柱管内にしばしば生じる.皮膚科領域で遭遇するものは多くは皮下結節を呈するが,皮内に生じる場合もある.
診断
【臨床症状】20~50歳に好発し,性差や人種差は明確ではない.頭部,四肢屈側,体幹の順に多く,通常単発で弾性硬の皮下結節を呈する.自覚症状を欠く場合と圧痛や放散痛を伴う場合とがある.触診では神経の走行に沿う方向に長軸を有する卵形を呈し,この方向には可動性が乏しいが,神経と直交する方向には可動性を有することが多い.多発例はまれであるが,神経線維腫症1型(NF1,von Recklinghausen病),2型(NF2),(家族性)神経鞘腫症(SMARCB1の変異)においてみられる.
【鑑別診断