診療支援
治療

木村病
Kimura's disease
牧野 輝彦
(富山大学准教授)

病態

 木村病は,末梢血好酸球増多と頭頸部領域の軟部組織腫脹を特徴とする慢性炎症性疾患である.比較的まれな疾患で,日本や中国など東アジアからの報告が大半を占め,欧米からの報告は少ない.性差は3~10:1と男性に多く10~30歳代に発症することが多い.

【病因・発症機序】好酸球浸潤とリンパ濾胞の増殖を特徴とする良性反応性疾患と考えられているが,病因と病態はいまだ不明である.本疾患にアレルギー疾患の合併が多いことや末梢血単核球からのinterleukin(IL)-4,IL-5,IL-13の産生増加がみられることよりTh2型の免疫応答の関与が推測されている.また,IgG4関連皮膚疾患との関連も示唆されている.


診断

【鑑別診断で想起すべき疾患】皮膚・軟部組織の悪性リンパ腫,好酸球性血管リンパ球増殖症(angiolymphoid hyperplasia with eosinophilia:ALHE),多形腺腫,Warthin腫瘍,耳下腺炎などが挙げられる.

【臨床症状からの診断】主に顔面,頸部に生じる5~10cmまでの比較的軟らかい無痛性の腫瘤であり,しばしば周囲にリンパ節腫脹を伴う.発熱や体重減少,全身倦怠感を認めることもある.蕁麻疹・アトピー性皮膚炎・痒疹などの皮膚疾患や,気管支喘息・アレルギー性鼻炎を時に合併する.

【必要な検査とその所見】血液検査では末梢血好酸球数の増多と血清IgE値の高値を特徴とする.また,血清中のIL-4,IL-5,IL-13,eosinophilic cationic protein(ECP),eotaxin thymus and activation-regulated chemokine(TARC),vascular endothelial growth factor(VEGF)も高値になる.

【画像検査】超音波検査では不均一な内部構造をもつ低エコー像を示す.C

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