診療支援
治療

アクロコルドン(有茎性軟腫),有茎性脂肪線維腫
Acrochordon,Pedunculated lipofibroma
延山 嘉眞
(東京慈恵会医科大学教授)

病態

 皮膚組織の良性の過増殖性病変.加齢や肥満,インスリン抵抗性,末端肥大症との関連が指摘されている.また,同症はBirt-Hogg-Dubé症候群(FLCN遺伝子変異による常染色体顕性(優性)遺伝性疾患)の症状の1つである.同義語として線維上皮ポリープ(fibroepithelial polyp),スキンタッグ(skin tag),軟性線維腫(soft fibroma)がある.


診断

 臨床所見上,①数mmほどの病変と②10~20mmほどの病変に分類される.①は表面に細かい皺を有する1~2mmの軟性の丘疹(図24-13)や,長さ数mmまでの表面平滑な軟性の糸状丘疹(図24-14)を呈する.皮膚色~黒褐色を呈する.どの部位にも生じうるが,特に頸部や腋窩,眼瞼周囲に多発する.病理組織上,表皮は軽度~中等度に肥厚する.角化や乳頭腫状態が目立つ場合がある.まれにhorn cystを有する.結合組織は疎で拡張した毛細血管やリンパ管が観察される.汗腺や毛包などの付属器はみられない.②は直径10~20mmほどの有茎性の結節を呈する.臀部や大腿上部に単発する(図24-15).病理組織上,平坦化した表皮が疎な結合組織を覆い,成熟した脂肪細胞が中心部に存在する(図24-16).同症は特に有茎性脂肪線維腫とよばれる.

 臨床所見上,Unna型の色素性母斑,皮膚の神経線維腫,Pinkus型基底細胞癌などとの鑑別が時に問題になる.確実な診断を要する場合,病理組織学的検索を行う.

 衣類や装飾品からの摩擦により瘙痒や疼痛を訴える場合がある.また,茎部が絞扼,捻転することにより,阻血から壊死に陥る場合がある.

 Birt-Hogg-Dubé症候群を鑑別するため,多発性のアクロコルドンを診察した場合,その他の皮膚症状である多発性の線維毛包腫(fibrofolliculoma)や毛盤腫(trichodisc

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