診療支援
治療

ガングリオン
Ganglion
加藤 裕史
(名古屋市立大学准教授)

病態

【発症機序】ガングリオンは主に関節部に出現する囊胞性病変であり,腱鞘,靭帯,関節包,滑液包および半月板などの密な結合組織のヘルニアから発症すると考えられている(図24-19).その原因は明らかにはなっていないが,関節周囲構造のムコイド変性によるものであるという説が濃厚である.

【頻度】ガングリオンはすべての年代にみられるが,20~40歳代の女性に発症することが最も多いとされている.


診断

【鑑別疾患】主な鑑別疾患として腱巨細胞腫,類表皮囊腫,脂肪腫,感染性腱滑膜炎,リウマチ結節,痛風結節などが挙がる.

【画像検査】①超音波検査:ガングリオンは超音波検査にて,密な結合組織が壁様に見え,内部には均一な無構造領域が観察される.一部の群では関節包に連続するトンネル様構造が観察できる場合もある.②MRI検査:ガングリオンはMRIでは境界明瞭な囊胞病変として観察される.ただし一部の炎症性関節炎を伴った症例においては診断が困難な場合があるとされている.


治療

 50%以上の症例で自然消褪が見込めるとの報告もあり,痛みを伴わない多くの症例においてはまずは経過観察を勧める.痛みの症状がある症例においては下記の治療を検討する.

a.穿刺吸引

 推定容量に応じて18G針と2.5mLのシリンジなどを用いて内容物を吸引する.穿刺後,約60%に再発を認めるとの報告がある.また穿刺時には神経損傷などのリスクもあり,穿刺部位の設定には注意が必要である.

b.外科的治療

 囊胞基部を含めて切除するのが一般的であるが,大関節に関しては関節鏡下手術も選択肢であり,症例に応じて整形外科専門医への相談を勧める.

□患者説明のポイント 疼痛がない症例に対しては経過観察でも消失する可能性があり,治療を行った場合の合併症,再発率なども事前に十分に説明することが重要である.

□生活指導のポイント 関節の反復運動を避け,不適切な自己処置(針で

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