病態
血管肉腫は肉腫全体の1~2%にすぎない非常にまれな腫瘍である.血管肉腫全体の約半数が皮膚に生じ,そのほとんどが頭頸部である.診断時に遠隔転移がない症例でもその50%生存期間は20か月未満と非常に予後不良で,多くが肺転移により死亡する.血管肉腫は血管由来かリンパ管由来かについてはこれまでにさまざまな検討がなされてきたが,リンパ浮腫を背景に発症した症例にリンパ管内皮マーカーが陽性となる症例が少ない反面,リンパ浮腫のない症例の半数にリンパ管内皮マーカーが陽性となるなど,その由来に関しては現在までに結論は出ていない.よって,本項では血管由来かリンパ管由来かを問わず「血管肉腫」として扱う.
【分類】皮膚に生じる血管肉腫は以下の3つに分類される.なお,組織学的な違いはない.①皮膚血管肉腫:高齢者の頭頸部に発生する血管肉腫で,最も頻度が高い.約3割の症例で発症前に外傷の既往があるとされるが,その関連