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治療

原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫
Primary cutaneous anaplastic large cell lymphoma
管 析
(西日暮里駅前すが皮膚科院長)

病態

 原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫(pcALCL)は大型で未分化な腫瘍細胞(anaplastic large cell)がシート状に増殖する組織学的形態を示すCD30陽性のリンパ腫である.2018年版のWHO-EORTC分類では同じくCD30陽性であるリンパ腫様丘疹症とともに,原発性皮膚CD30陽性T細胞リンパ増殖異常症(primary cutaneous CD30-positive T-cell lymphoproliferative disorders)というカテゴリーで分類されている.

【頻度】同分類ではpcALCLは皮膚T細胞リンパ腫の約8%を占め,5年生存率は95%とされている.

【病因・発症機序】ALCLに特徴的に発現するCD30分子はCD30リガンドが結合することによりシグナルが伝達される.この経路は生理的に細胞増殖,分化,または細胞死を誘導する.染色体6p25.3上のDUSP22-IRF4 locusの再構成が約25%の症例でみられる.

【臨床症状】さまざまな大きさの結節,腫瘤(潰瘍化することもあり),丘疹,浸潤性紅斑を示す(図25-7).約60%の症例は単発であるが,多発例も約40%にみられる.リンパ腫様丘疹症のように自然消褪することもある.


診断

 組織所見では真皮内に大型異型細胞がシート状に増殖し,表皮向性を欠くことが多い.大型異型細胞に混じって好酸球などがみられる.通常CD4陽性,CD8陰性,CD30陽性,CD25やCD56は陽性のこともある.細胞傷害性因子は通常陽性である.皮膚原発のものはALK陰性,EBER陰性,CCR4は陽性の場合がある.CD30陽性細胞の浸潤は菌状息肉症でもしばしばみられるが,ALCLでは皮膚浸潤腫瘍細胞の75%以上がCD30陽性であることが必要である.臨床的にリンパ腫様丘疹症が否定され,診断時に皮膚外病変を認めなければpcALCL

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