診療支援
治療

血管免疫芽球性T細胞リンパ腫
Angioimmunoblastic T-cell lymphoma:AITL
河井 一浩
(新潟医療生活協同組合木戸病院部長)

病態

 濾胞ヘルパーT(Tfh:follicular helper T)細胞由来の末梢性T細胞リンパ腫であり,全身リンパ節腫大,節外病変,全身症状,およびリンパ節における多様な細胞浸潤,高内皮細静脈(HEV:high endothelial venule)と濾胞樹状細胞(FDC:follicular dendritic cell)の増生を特徴とする.免疫不全を伴い,ほぼ全例でEBV陽性B細胞の増生を認める.本邦では全悪性リンパ腫の約2%を占め,高齢者に多い.ほとんどの患者は進行期で診断され,一般に予後不良であるが,一部は長期生存する.半数近くに皮膚病変がみられる.


診断

【臨床症状】全身リンパ節腫大,肝脾腫があり,発熱,発汗,体重減少などの全身症状を伴うことが多い.骨髄浸潤,浮腫,胸水,腹水,関節炎も多い.皮膚病変は播種状紅斑丘疹が多く,薬疹やウイルス感染などによる急性発疹症との鑑別が必要になるが,AITL患者では薬疹の頻度も高い.蕁麻疹様皮疹,結節,紫斑,紅皮症などを呈することもある.

【検査所見】悪性リンパ腫の一般的な検査・画像所見のほかに多クローン性高免疫グロブリン血症があり,炎症反応,低アルブミン血症,好酸球増加,溶血性貧血,Coombs試験陽性,寒冷凝集素陽性,血小板減少,リウマチ因子陽性,抗核抗体陽性などが認められる.抗HTLV-1抗体が陰性であることを確認する.

【病理組織学的所見】皮膚病変の多くは非特異疹とされているが,皮膚生検組織の免疫染色によりTfh細胞マーカー陽性腫瘍細胞や,EBV陽性B細胞の浸潤を証明できることがある.しかし,皮膚生検組織のみに基づいてAITLと診断することは困難なことが多く,播種状紅斑丘疹を生じた患者で全身リンパ節腫大を認めた場合,AITLを疑ってリンパ節生検を行う.リンパ節では,リンパ節構造が破壊され,リンパ節周囲にも浸潤がみられる

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