診療支援
治療

リンパ腫様丘疹症
Lymphomatoid papulosis:LyP
大塚 幹夫
(福島県立医科大学准教授)

病態

 LyPと原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫(参照)は類似の組織所見を示し,同一スペクトラムの疾患群とされ,両者を包括する概念として原発性皮膚CD30陽性リンパ増殖異常症の名称が用いられている.


診断

【鑑別診断で想起すべき疾患】虫刺症や結節性痒疹,急性痘瘡様苔癬状粃糠疹などが挙げられるが,経過が異なることから,臨床的に鑑別可能である.

【問診で聞くべきこと】自覚症状と臨床経過の確認が重要.LyPの皮疹は通常痒みはない.また,皮疹の再燃,自然寛解を繰り返すことが最も大きな特徴である.

【臨床症状からの診断】個疹は数mm~1cmの暗赤色結節であり,徐々に増大して中央が痂皮化し,1~3か月の経過で瘢痕を残して自然消褪することを繰り返す.まれに皮疹は2~3cmに達することがある.

【必要な検査とその所見】皮疹の性状,臨床経過,および生検組織所見により診断を確定する.

【病理組織学的検査】基本的な組織所見は,CD30陽性大型異型細胞の出現と小型リンパ球,好酸球などの浸潤であるが,CD30陽性大型異型細胞の比率はさまざまであり,みられない場合もある.免疫染色では,T細胞マーカーの一部欠損,TIA1やGranzyme Bなど細胞傷害分子陽性が特徴である.


治療

 皮疹は自然消褪するため,出現頻度が少なく,日常生活に支障がない場合には,治療を要さない.このような症例に治療を行う場合には外用ステロイド,光線療法などを選択するが,顕著な効果はみられないことが多い.皮疹が頻回に生じ,日常生活に支障を生じる場合には内服療法を考慮する.

1.軽症の場合

Px処方例

マイザー軟膏 1日2回 塗布

2.症状が強い場合

Px処方例 下記を併用する.

メソトレキセート錠(2.5mg) 1回1錠 12時間ごとに 1週間に2~3回

フォリアミン錠(5mg) 1回1錠 メソトレキセート最終内服の24~48時間後

□患者説明のポイント 

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