診療支援
治療

皮膚B細胞リンパ腫
Primary cutaneous B cell lymphoma
宮垣 朝光
(聖マリアンナ医科大学准教授)

病態

 皮膚を原発臓器とするB細胞リンパ腫で,原則としては,診断時に皮膚外病変のないものと定義される.いくつかの病型が含まれているが,原発性皮膚辺縁帯B細胞リンパ腫(PCMZL),原発性皮膚濾胞中心リンパ腫(PCFCL),原発性皮膚びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(PCDLBCL)の3つが代表的であり,まれな病型として,血管内大細胞型B細胞リンパ腫(IVLBCL),EBV陽性皮膚粘膜潰瘍(EBVMCU)が含まれる.病型が予後に直結し,PCMZL,PCFCL,EBVMCUは予後良好であり,PCDLBCL,IVLBCLは予後不良である.

【頻度】本邦では,皮膚リンパ腫の10%程度を占める.


診断

【鑑別診断で想起すべき疾患】肉芽腫性疾患や良性・悪性腫瘍,内臓癌の皮膚転移,感染症,潰瘍を形成する疾患など鑑別は多岐にわたる.

【臨床症状からの診断】PCMZL,PCFCL,PCDLBCLは単発ないし多発する紅色結節,浸潤性紅斑,皮下硬結を呈する.PCMZL,PCFCLは頭頸部,上半身に多く,PCDLBCLは下肢に多い.IVLBCLは紅斑,紫斑,血管拡張などを呈することもあるが,無疹のことが多い.中枢神経や肺浸潤を伴いやすく,不明熱の原因となり,他科から疑い例として,紹介されることが多い.EBVMCUは免疫抑制薬,加齢,HIV感染などの免疫低下により発症し,粘膜,皮膚に孤発性の境界明瞭な不整形の浅い潰瘍を形成する.臨床症状のみで診断することは不可能である.

【病理組織学的検査】PCMZL,PCFCLでは,真皮内に結節状にリンパ濾胞の形成を伴うB細胞の浸潤を認める.PCMZLでは,Bcl-2陽性Bcl-6陰性の小型のB細胞が増殖しており,リンパ濾胞内に小型のB細胞が入り込んでおり,濾胞構造が不明瞭化する.また,T細胞,好酸球,組織球など多彩な細胞浸潤を伴う.PCFCLでは,濾胞内の大型のBcl

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