診療支援
治療

Gianotti病とGianotti-Crosti症候群
Gianotti disease and Gianotti-Crosti syndrome
山本 剛伸
(川崎医科大学准教授)

病態

 小児丘疹性先端皮膚炎ともいう.従来,B型肝炎ウイルス(HBV)初感染による病態をGianotti病としてきたが,HBV以外によるウイルス感染でも同様の症状を示すことが明らかにされ,Gianotti-Crosti症候群とよぶようになった.原因ウイルスとして,HBV以外にEBウイルス(EBV),サイトメガロウイルス(CMV),コクサッキーウイルスA16,エンテロウイルス,HHV-6,HIVなどがある.EBVの初感染によることが多く,3歳未満の小児に好発する.ウイルス性発疹症の一種に分類される.

【病因・発症機序】ウイルス感染に対するT細胞の遅延型免疫応答により引き起こされると考えられており,伝染性単核症ほど免疫能が十分に発達していない,より低年齢層に発症しやすい.軽微な発熱,全身倦怠感,呼吸器症状などの軽い感冒様症状を前駆期に認めることがあり,その後,数mm大の紅色丘疹や漿液性丘疹が左右対称性に四肢末端から上行性に拡大し,顔面にも同様の皮疹を瘙痒とともに認めるようになる(図26-14,図26-15).背部は皮疹を欠くことが多い.表在リンパ節腫脹,肝機能障害,肝腫大(特にHBVの場合)が認められることがある.HBVが原因ウイルスである場合,肝機能障害が数か月持続する.治癒後キャリア化,慢性化する例がある.


診断

【臨床症状からの診断】四肢末梢から丘疹が広がり,顔面(特に頰部)にも皮疹を認めるが,背部に皮疹を認めないなどの所見と,感冒様症状の合併・既往などから本疾患を疑う.

【必要な検査とその所見】①血清学的診断:血清学的に原因ウイルスの確認を行う.EBV感染症の血清学的診断は,蛍光抗体法(FA法)により抗VCA-IgM/IgG抗体,EBNA抗体を確認する.抗VCA-IgM抗体は初感染急性期に出現し,抗VCA-IgG抗体は過去の感染を反映する.HBVであれば,HBs抗原をまず

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