病態
Orientia tsutsugamushiを病原体とするリケッチア感染症で,病原体を保有するツツガムシの幼虫が媒介する.北海道を除く全国でみられ,高熱,発疹,刺し口を特徴とする.感染症法で4類感染症に指定されている.
【頻度】最近10年間で年間400~500例前後が報告されている.感染地としては福島,群馬,千葉,広島,宮崎,鹿児島などで多い.全国の都府県で春と晩秋~初冬に散発的に発生しているが,秋田では夏にみられる.
【病因・発症機序】関東以北ではフトゲツツガムシ(秋~冬に現れて翌春にも活動),関東以西ではタテツツガムシ(秋~初冬に活動)が主な媒介者となる新型つつが虫病がみられ,秋田県ではアカツツガムシ(夏に活動)が媒介する古典的つつが虫病がみられる.病原体を保有するツツガムシ幼虫が山間部や河川敷,畑などでヒトに吸着することでリケッチア感染が成立し,5~14日の潜伏期を経て症状が出現する.病原体リケッチアには6型の血清型が存在し,地域やツツガムシの種類によって保有する型が異なる.
診断
【鑑別診断で想起すべき疾患】臨床的には日本紅斑熱に類似する.そのほか,ウイルス性発疹症や薬疹などを鑑別する必要がある.
【問診で聞くべきこと】発症の5~14日前に山間部や河川敷など,媒介者となるツツガムシ類の生息する場所での野外活動があったかどうかを確認する.
【臨床症状】39~40℃の高熱とともに全身倦怠感,頭痛,筋肉痛,関節痛などが出現し,全身の表在リンパ節腫脹を認める.全身に直径5mm前後の境界不鮮明な淡い紅斑が播種状に分布し,自覚症状は伴わない.ツツガムシが吸着した部位には黒色痂皮が付着した小潰瘍を形成し,周囲に紅斑を伴った特徴的な「刺し口」を認める(図26-16)図.この皮疹は体幹,四肢の被覆部に認められることが多いが虫体はみられない.刺し口の所属リンパ節が有痛性に腫脹する.
【必要な
関連リンク
- 治療薬マニュアル2024/ミノサイクリン塩酸塩《ミノマイシン》
- 治療薬マニュアル2024/ドキシサイクリン塩酸塩水和物《ビブラマイシン》
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/日本紅斑熱
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/ネコひっかき病
- 臨床検査データブック 2023-2024/パラインフルエンザウイルス抗体 [保] 79点
- 新臨床内科学 第10版/2 つつが虫病
- 新臨床内科学 第10版/3 発疹チフス
- 新臨床内科学 第10版/4 日本紅斑熱
- 新臨床内科学 第10版/(2)サイクロスポーラ症,戦争シストイソスポーラ症
- 新臨床内科学 第10版/(4)トリパノソーマ症
- 新臨床内科学 第10版/26 西ナイル熱
- 新臨床内科学 第10版/33 天然痘(痘瘡)