診療支援
治療

癜風
Tinea versicolor
石崎 純子
(東京女子医科大学附属足立医療センター准教授)

病態

 癜風は,脂漏部位の常在真菌であるマラセチア菌が菌糸型で増殖して生じる表在性皮膚真菌症である.主要原因菌種はMalassezia globosaとされる.20~30歳代の体幹脂漏部位に好発する.

【臨床症状】頸部,胸腹部,背部の脂漏部位に生じる.皮疹は大小混在,あるいは融合する浸潤のない色素斑(黒色癜風)(図28-18)ないし脱色素斑(白色癜風)で,時に淡紅色調を呈する.毛孔性に始まり拡大融合し,大型の局面をなす.痒みなどの自覚症状は少ない.表面は平滑で一見鱗屑は目立たないが,先の鈍いメスで擦る,あるいはエーテルやエタノールなどで病変を脱脂すると,細かい粃糠様鱗屑が浮かび上がる(カンナ屑現象)(図28-19)


診断

【鑑別診断で想起すべき疾患】褐色斑を生じる疾患として,カフェオレ斑,扁平母斑や炎症性色素沈着,脱色素斑を生じる疾患として尋常性白斑などが挙げられる.

【診断に必要な検査所見】採取した鱗屑のKOH直接鏡検により菌糸と塊状の胞子を証明する.パーカーインク(旧バージョンのブルーブラック,現バージョンのブラック)やクロラゾールブラックE,シカゴスカイブルーを添加したKOH液,ズームブルー,酸性メチレンブルーの染色でより観察しやすい(図28-20)


治療

 「日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン2019」では抗真菌薬の外用,内服とも推奨度はAとされる.外用を第1選択とし,病変が広範囲な症例や再発を繰り返す症例では内服薬を選択する.保険適用のある外用薬はアゾール系,アリルアミン系,モルホリン系などの抗真菌外用薬である.特にアゾール系の使用が勧められる.基剤としては,軟膏よりクリームやローション,スプレーのようにべたつきにくく,広範囲に塗布しやすいものを選択する.内服薬ではイトラコナゾール(イトリゾール)とテルビナフィンに保険適用がある.

Px処方例 下記1),2)のいず

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