病態
皮膚Scedosporium症は土壌や水圏環境の腐朽植物に広く分布するScedosporium属真菌による皮膚,皮下組織の感染症である.この菌のコロニーは暗色であるため,黒色真菌症に分類されることもある.皮膚科領域では多くはS. apiospermumに起因するが,この菌は以前はPseudallescheria(Petriellidium)boydiiとしても報告されていた.外傷を契機に菌が持ち込まれて発症するため,四肢,特に手が好発部位である(図28-27)図.ほとんどの患者は基礎疾患をもち,免疫抑制状態にあると考えられる.本症の報告例は,近年増加傾向にある.Scedosporium属真菌は,皮膚以外では肺感染症(津波肺),角膜真菌症,人工弁置換術後の心内膜,副鼻腔炎の原因菌としても知られている.
診断
【問診で聞くべきこと】経過や外傷の既往,基礎疾患があれば治療歴,治療薬を聞き,免疫