病態
発汗に適切な刺激を受けるか発汗を促す環境下にありながら発汗量が正常より少ない場合を減汗症,発汗を完全に欠く場合を無汗症という.汗の分泌減少,欠如,あるいは汗排出障害などが起因する.
【病因・発症機序】無汗症,減汗症の原因はさまざまである.エクリン汗腺の異常,交感神経の異常,皮膚疾患,代謝疾患,自己免疫性疾患そして薬剤による続発性の発汗障害もある.さらに,原因が不明な特発性の無汗症もある.
診断
発汗の減少または欠如のため,皮膚は常時乾燥し軽度の痛みを訴えることもある.広範囲の無汗症では,高温の環境下において発熱,脱力感,疲労感,めまい,動悸が出現することもある.先天性であるのか後天性であるのかで大きく2型に分類される.後天性無汗症では基礎疾患などの原因疾患が明らかである続発性無汗症と,原因疾患が特定できない特発性後天性無汗症に分類される(図31-1)図.
【問診で聞くべきこと】①先天性と後天性があり,何歳頃に発症したかが問診上最も重要である.無汗症に関しては,夏に高温の環境下において発熱,脱力感,疲労感,めまい,動悸が出現することもあるのでこのような点も問診が必要である.②無汗症,減汗症の原因はさまざまである.エクリン汗腺の異常,交感神経の異常,皮膚疾患,代謝疾患,自己免疫性疾患そして薬剤による続発性の発汗障害もある(図31-1)図.さらに,原因が不明な特発性の無汗症もある.特発性には全身性の特発性後天性全身性無汗症(AIGA:acquired idiopathic generalized anhidrosis)と分節性に無汗症になる分節型無汗症に分類される(図31-1)図.先天性であるときには,顔貌,歯牙異常などの合併がないか,頻回の骨折の既往,齲歯などの合併の有無を聴取する必要がある.皮膚の合併症ではびまん性被角血管腫,母斑,乾燥肌,頭髪の異常,爪の異常なども確認する必