診療支援
治療

毛髪の形態と色の異常
Abnormalities of hair (colour,form)
伊藤 泰介
(浜松医科大学病院教授)

病態

‍ 表31-3に示すように縮毛症,連珠毛,捻転毛,陥入性裂毛,結節性裂毛などの毛髪の形態異常があり,それぞれ病態が異なる.また毛髪の色素異常として表31-4に示す疾患がある.毛髪のみの非症候性と他症状を伴う症候性がある.


診断

【毛髪異常のチェックポイント】幼少時期からの毛髪成長や色の異常.毛髪の脆弱性の有無.毛髪のねじれ,縮れ,結節,太さの変化.家族歴の有無.毛髪以外の症候の有無.

【診断のポイント】毛成長の遅延:2~3歳頃までの間に1度も髪の毛を切る必要がないといった病歴.家族歴の確認.形態異常:肉眼的,光学顕微鏡で周期的な太さの変化や捻転,結節,陥入の確認.毛髪色素異常:発症年齢や色調の確認.色素異常の罹患部位:全頭性,局在性など.毛髪異常に付随する症候の確認.

【必要な検査とその所見】①光学顕微鏡:肉眼的な縮毛症状に加えて,顕微鏡下での不規則なねじれや毛軸に沿った溝が頻繁に観察される場合には,縮毛症(woolly hair)を疑う.毛髪径が周期的に異常に細くなり毛髪の形状が数珠状を呈している場合には,連珠毛(monilethrix)を考える.毛髪が規則的にねじれている場合には,さまざまな外胚葉形成不全症に伴う捻転毛(pili torti)を疑う.遠位側の頭髪が近位側に向かい陥入している場合には陥入性裂毛(bamboo hair)であり,Netherton症候群の毛髪症状である.毛髪が所々でささくれて節のようになり,毛小皮が裂け毛ケラチン線維が外に露出した状態となっているものが結節性裂毛であり,不適切な毛髪ケアによる後天的変化が多い.②遺伝子診断:日本人の先天性毛髪形態異常の約9割がLIPH変異により縮毛症状を呈する遺伝性劣性乏毛症(ARWH:autosomal recessive wooly hair)である(約1万人に1人).毛髪色素異常では

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