診療支援
患者説明

骨髄異形成症候群に対する治療
波多智子
(長崎みなとメディカルセンター臨床検査部・部長)

1.現在の病状・病態

 骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes;MDS)は造血幹細胞に遺伝子変異が生じたことによって発症するクローン性の疾患であり,血液がんの1つです.血球の異形成,無効造血による血球減少を特徴とし,一部の症例は急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia;AML)への移行を認め,多様な病態を示す疾患群です.

 MDS患者の症状は血球減少による貧血症状,易感染性,および出血症状が主なものです.また,時に免疫異常が合併し,発熱およびベーチェット(Behçet)病様の症状やさらに好中球機能異常の関与も考えられる壊疽性膿皮症の合併なども報告されています.しかし,初期には症状に乏しく,検査値異常で発見されることもあります.

 診断のためには骨髄穿刺が必須です.骨髄液のメイ–ギムザ染色,鉄染色,細胞表面マーカー,および染色体検査を行います.ま

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