診療支援
患者説明

血漿交換療法
大西弘夏
(東邦大学医療センター大森病院腎センター)
酒井 謙
(東邦大学医療センター大森病院腎センター・教授)

1.現状の病状・病態

 血液は,赤血球や白血球などを含む血球成分とアルブミン,グロブリン,凝固因子などのさまざまな蛋白が含まれる血漿成分に分けられます.その血漿成分の中に病気の原因となる物質(病因物質)が含まれている場合,病因物質を除去する必要があります.病因物質を除去する治療法のことを総称してアフェレーシス療法といいます.悪性関節リウマチや全身性エリテマトーデスといった膠原病・自己免疫疾患や重症筋無力症,ギラン–バレー(Guillain–Barré)症候群,多発性硬化症といった免疫性神経疾患,劇症肝炎や潰瘍性大腸炎,クローン(Crohn)病といった消化器疾患など,適応疾患はさまざまです(表1).アフェレーシス療法を実施することで十分な病因物質が除去され治療効果が期待できると考えられた疾患がこの治療の適応となります.

2.治療目的

 アフェレーシス療法には単純血漿交換療法以外に二重濾過血漿分離交換法,血漿吸着法,血球成分除去療法,血液吸着療法,持続血液浄化療法があります.いずれも病因物質を除去することによって病態の改善を図ることを目的としています.

 また,これらの治療は現行の薬物療法に対して補助的な役割をはたし,ステロイド剤や免疫抑制薬などの薬剤を減量させることが期待できます.治療の実施についてはそれぞれの疾患の担当医と十分に相談し検討していきます.

3.治療法の概略と効果

 アフェレーシス療法には以下の治療法があります.適応疾患によって治療回数や頻度が異なります.病勢に応じて連日治療を実施することもあります.入院して治療する場合もあれば,外来通院で治療が可能なこともあります.1回あたりの治療時間は2~3時間程度です.いずれの治療法も血液を体外に1分間あたり30~150mL取り出します.そのためには血液を取り出す(脱血)ルートと,体内に血液を戻す(返血)ルートが必要です.身体の太い

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