1.現在の病状・病態
全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus;SLE)は,本来は細菌やウイルスから身体を守る免疫というしくみの異常により,全身的な慢性の炎症がみられる病気です.免疫の異常により,通常は病原体などに対してつくられる抗体が,自己抗体といって自己の成分(細胞や血液中の蛋白質など)に対してつくられてしまう自己免疫疾患といわれる病気であり,SLEでは細胞の核にあるDNA・RNAやさまざまな核蛋白に対する抗体がみられます.またSLEは膠原病といわれる病気の1つでもあり代表的な膠原病です.遺伝的な素因や環境的因子が発症に関連しているといわれていますが,原因は不明です.腎臓に炎症が起こる腎炎は,SLEの約半数にみられループス腎炎とよばれます.ループス腎炎では,蛋白尿などの尿検査異常がみられ,患者さんによって重症の度合はさまざまです.可能な限り重症の