肝・胆道・膵疾患の病態把握と診断,治療方針の決定には,血液などの検体検査と超音波,CT,MRIなどの画像検査が必須である.実施する検査項目を的確に選択することは,早期診断とともに,無駄なコストの削減にもつながる.目的が明確でない網羅的な検査は,医療経済的な観点からさけるべきである.このため,それぞれの検査の意義とその限界を十分に理解したうえで,診療にあたる必要がある.
肝・胆道・膵の領域で臨床検査を行うのは,これら臓器の疾患に起因する症状,症候がみられる症例のみではない.健康診断ないし他臓器疾患の診療で行われた検査で,肝・胆道・膵疾患が疑われる場合がある.特に肝疾患は,無症状で検査値の異常を契機に受診して,診断される症例が多い.また,他臓器疾患と同様に,医療面接と身体診察が診療の基本であるが,この領域の診断学では臨床検査の意義が多大である.肝疾患では血液検査,胆道・膵疾患では画像検査の果