診療支援
検査

検査計画の進め方 腎・泌尿器疾患
加藤 哲夫
(福島第一病院副院長)

Ⅰ.腎・泌尿器疾患の種類と基本的な検査


 腎・泌尿器の疾患は表30のような症候群に分類される.大別すると1)~8)までの腎実質性の糸球体もしくは間質性腎疾患と,9)の感染症,および10)~13)の泌尿器科的疾患である.ここであげる基本的な検査とは,腎・泌尿器疾患が疑われた場合にまず行い,その結果により疾患の大まかな評価が可能となり,さらに専門医師にコンサルトするときにも有用な基礎的検査のことである.


Ⅱ.腎・泌尿器疾患の症状


 腎不全による全身倦怠感,食欲低下,悪心などの尿毒症症状や,貧血,高血圧,皮膚の色素沈着,高度の蛋白尿に伴う浮腫,結石による疝痛,肉眼的血尿,尿路感染症に伴う腰背部痛と発熱などは腎・泌尿器疾患を疑う主要な症状である.しかし,腎・泌尿器疾患は多くの場合,軽度の蛋白尿,顕微鏡的血尿以外にほとんど臨床症状を伴わないこともある.


Ⅲ.第1次スクリーニング


1.どのような場合に行うか

 腎疾患が疑われる場合は,表31,表32に示す検査を行う.これにより一般的な主要腎・泌尿器症候群の鑑別を行い,これにより得られた情報をもとに主要腎・泌尿器疾患の第1次スクリーニングへと進む.表33にあげた諸検査をそれまでに得られた情報に基づき適宜選択する.たとえば尿路感染症が疑われる場合は,尿検査と尿の細菌定量培養を行う.泌尿器疾患を鑑別するためには必要に応じて腹部超音波検査,腹部CTスキャンなどを行う.特に尿路系の悪性腫瘍が疑われる場合は尿細胞診を提出するとともに,専門家へのコンサルトを考慮すべきである.


2.解説・意義と判定

 尿定性試験で尿蛋白±は蛋白濃度5~20mg/dL,+は30mg/dL,2+は100mg/dL,3+は300mg/dL,4+は2,000mg/dL以上にほぼ相当する.1日尿蛋白が150mg以上は異常とされるので定性試験で+以上であれば,有意な蛋白尿を伴う腎疾患の可

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