基準値
・チロシン(Tyr):40.4~90.3nmol/mL
・フェニルアラニン(Phe):42.6~75.7nmol/mL
測定法 高速液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)法
検体量 血漿0.2mL
日数 3~5日
目的 ①先天性アミノ酸代謝異常,②肝障害の重症度判定,③栄養状態把握
NOTE *保険点数:「保険注意」を参照のこと
Decision Level
●TyrおよびPhe基準値以上
[高頻度]肝疾患(肝硬変,劇症肝炎,肝性脳症),先天性代謝異常(高フェニルアラニン血症,高チロシン血症,シトリン欠損症など) [可能性]肝疾患,アミノ酸代謝異常症,栄養過多,糖尿病 [対策]肝疾患に対しては精査と治療,必要に応じ特殊組成アミノ酸製剤の輸液によりアミノ酸バランスを補正.先天性代謝異常に対してはアミノ酸分析による解析と食事療法の実施〔Phe除去ミルク,中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)が多い特殊ミルクの飲用や低蛋白食など〕.栄養過多や糖尿病に関しては,栄養アセスメント蛋白や糖負荷試験を実施し,栄養状態を把握する
●TyrおよびPhe基準値以下
[高頻度・可能性]低栄養状態 [対策]栄養状態の把握として,栄養アセスメント蛋白の測定,必要に応じアミノ酸製剤の輸液
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
芳香族アミノ酸(aromatic amino acid;AAA)であるTyr,Pheは主に肝臓において代謝されるが,肝機能が低下するとアミノ酸代謝異常(p-ヒドロキシフェニルピルビン酸キナーゼの活性低下など)により上昇する.
また,先天性代謝異常症であるフェニルケトン尿症では,フェニルアラニン水酸化酵素(phenylalanine hydroxylase;PAH)の異常,もしくはこの酵素に必要な補酵素(テトラヒドロビオプテリン; BH4)の欠損によりPheが上昇し,遺伝性高チロシン血症では,
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