基準値 0.2~0.9mg/dL
測定法 酵素法
検体量 血清0.5mL
日数 2~4日
目的 骨格筋障害の指標
Decision Level
●0.2mg/dL以下(基準下限以下)
[高頻度・可能性]蛋白制限食,肝硬変,甲状腺機能低下症 [対策]原疾患の診断.臨床的意義は少ない
●0.9mg/dL以上(基準上限以上)
[高頻度・可能性]進行性筋ジストロフィー,多発性筋炎,皮膚筋炎,筋萎縮性側索硬化症,甲状腺機能亢進症,副腎皮質ホルモン剤投与時 [対策]投与薬剤と甲状腺機能チェック.CK,ミオグロビン,アルドラーゼの測定.筋電図,神経伝導速度,筋生検
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
クレアチンの大部分は骨格筋においてクレアチンリン酸として存在し,筋収縮に必要なエネルギー供給源であるATPの産生に関与している.クレアチンは,腎でグリシンとアルギニンから合成されたグアニド酢酸(=グアニジノ酢酸,グリコシアミン)が,肝でメチオニンからメチル基転移が行われて産生される.クレアチンは骨格筋へ運ばれ,CKによりクレアチンリン酸となる.
クレアチン濃度の異常は,主に筋疾患でみられ,その機序として,クレアチンの筋肉への取り込み異常や筋肉からの漏出が考えられている.肝硬変ではクレアチンの産生が低下し,血清クレアチン濃度が低下する.
血清クレアチン濃度は1mg/dL以下であり,正常腎での排泄閾値は0.6mg/dLであるため,クレアチンの異常は尿のほうが鋭敏である.
判読
①性差があり,女性のほうが男性より高値.②日内変動があり,夕方に高値を示す.③食事蛋白の影響を受けやすいので3日間のクレアチン制限食が望ましい.④溶血により高値となる.これは,赤血球中にクレアチンが多く存在するためである.
採取保存
血清分離後,冷蔵保存で約1週間,凍結保存で長期安定.
薬剤影響
①上昇副腎皮質ホルモン剤.②低下蛋白同化ホルモン.
測定前
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