基準値 4~13.8g/日(蓄尿)
測定法 酵素法(アンモニア消去法)
検体量 蓄尿5mL
日数 2~4日
目的 腎機能障害のスクリーニング
Decision Level
●3g/日以下(減少)
[高頻度]肝不全(肝硬変末期など),高度腎不全,低蛋白食,妊娠 [可能性]飢餓 [対策]原因の確認
●15g/日以上(増加)
[高頻度]高蛋白食,蛋白異化の亢進する病態(悪性腫瘍,感染,外傷,手術など) [可能性]コルチコステロイド,利尿薬,テトラサイクリンなどの薬物投与 [対策]原因の精査・治療
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
組織蛋白や食事蛋白の分解により生じたアミノ酸の分解産物であるアンモニアが,肝臓の尿素サイクルで代謝されて尿素となる.分子量60Daで糸球体を自由に通過するが,近位および遠位尿細管において水とともに再吸収される.集合管での再吸収は抗利尿ホルモン(ADH)の存在下で亢進する.
したがって組織蛋白の異化が亢進する場合には血中尿素窒素が上昇し,尿中にも排泄され増加する.食事蛋白の摂取過多でも尿中の排泄は増加する.それに対して肝疾患や蛋白制限時(エネルギーを十分に摂取している場合)には,肝での尿素の生成そのものが低下するためUNの排泄も低下する.
[関連する検査]
「尿クレアチニン」の項参照→.
判読
①十分なエネルギー摂取のある場合には蛋白摂取量は次式で計算できる.
蛋白摂取量(g/日)
=〔UN(g/日)+0.031×体重(kg)〕×6.25
②尿素は糸球体を自由に通過した後に尿細管で再吸収されるため,UNクリアランスは実際の糸球体濾過量(GFR)の35~65%となる.③腎機能が低下すると尿素の尿細管での再吸収量が低下し,Crの尿細管からの分泌量が増加する.腎機能低下時にはUNクリアランスとCrクリアランスの平均が真のGFRに近い値となるといわれている.④急性腎障害(AKI)の鑑
関連リンク
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- 臨床検査データブック 2023-2024/3-メチルヒスチジン〔3-MeHis〕 [保] 279点
- 臨床検査データブック 2023-2024/アンモニア〔NH3〕 [保] 50点
- 臨床検査データブック 2023-2024/パラアミノ馬尿酸クリアランス《PAHクリアランス〔CPAH〕》 [保] 150点
- 臨床検査データブック 2023-2024/尿クレアチニン〔Cr〕 [保] 11点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/尿中尿酸〔UA〕 [保] 11点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/クレアチニンクリアランス〔Ccr〕《内因性クレアチニンクリアランス》
- 臨床検査データブック 2023-2024/イヌリンクリアランス〔Cin〕 [保] 1,280点
- 臨床検査データブック 2023-2024/尿浸透圧〔Uosm〕 [保] 16点
- 臨床検査データブック 2023-2024/血清クレアチン [保] 11点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/尿中硫酸抱合型胆汁酸〔USBA〕 [保] 57点
- 臨床検査データブック 2023-2024/尿中β2-ミクログロブリン〔尿中β2-m,尿中BMG〕《尿中β2-マイクログロブリン》 [保] 101点
- 臨床検査データブック 2023-2024/1,5-アンヒドロ-D-グルシトール〔1,5-AG〕 [保] 80点
- 新臨床内科学 第10版/1 腎機能の評価法