基準値 1.0mg/gCr以下(Tf指数)
測定法 ラテックス凝集比濁法
検体量 早朝尿,随時尿2mL
日数 2~4日
目的 ①糖尿病性腎症の早期診断,②尿蛋白の選択性の判定
Decision Level
●上昇(基準上限以上)
[高頻度・可能性]糖尿病,ネフローゼ症候群(特に微小変化群),慢性腎炎,全身性エリテマトーデス(SLE),関節リウマチ,多発性骨髄腫,脳腫瘍,ウイルス性脳炎,尿路感染,尿細管障害,急性腎障害(acute kidney injury;AKI),βサラセミア,Fanconi症候群 [対策]血中Tfの測定,血糖,尿糖,尿蛋白,尿中微量アルブミン,尿中Ⅳ型コラーゲン,β2-ミクログロブリン,NAGなどの測定.Bence Jones蛋白の有無
●低下
臨床的意義は少ない
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
Tfは主に肝臓で産生され,鉄の貯蔵・運搬に関与するβ-グロブリン分画に属する鉄結合糖蛋白である.分子量は76kDaでアルブミン(67kDa)より大きいが,陰性荷電(等電点5.5~5.7)はアルブミン(4.7~4.9)より弱い.正常な腎臓ではサイズバリアと電荷バリアにより糸球体で濾過されにくいが,腎疾患では糸球体のわずかな変化を鋭敏にとらえ,アルブミンよりも尿中に排泄されやすい.微小変化型ネフローゼ症候群における電荷バリアーの消失による尿蛋白選択性の指標として測定される.糖尿病性腎症においては尿中微量アルブミンの出現より早期に尿中Tfが高値になり,より早期の糖尿病性腎症の発見と治療効果判定に使用される.
NOTE selectivity index(SI)
SI=CIgG/CTf=(UIgG×PTf)/(PIgG×UTf)
(C:クリアランス,U:尿中濃度,P:血清中濃度.濃度の単位を合わせて計算する)
ネフローゼ症候群に対するステロイド治療の有効性を予測する際に使用.SI≦
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