Decision Level

●基準上限以上(増加；高アミラーゼ血症)

[高頻度]急性膵炎，慢性膵炎　[可能性]膵嚢胞，膵癌，総胆管結石，Vater乳頭癌，急性耳下腺炎，唾石，消化管穿孔，腸閉塞，腹膜炎，異所性妊娠，アミラーゼ産生腫瘍(肺癌，卵巣癌，卵管癌など)，マクロアミラーゼ血症，慢性腎不全，ショック，ERCP後　[対策]アミラーゼアイソザイム，尿中アミラーゼの測定とamylase creatinine clearance ratio(ACCR)計算(基準値は1～4％)〔「尿アミラーゼ」の項参照→〕．原疾患の診断と治療．病歴と身体所見．他の膵酵素の測定〔「膵型アミラーゼ」の項参照→〕．腹部超音波，腹部CT，MRCP，超音波内視鏡(EUS)，腹部単純X線．産婦人科診察．BUN，クレアチニン測定．血糖，HbA1c，IgG，IgG4測定

●基準下限以下(減少；低アミラーゼ血症)

[可能性]膵全摘後，慢性膵炎や膵癌による膵実質の荒廃，唾液腺摘出後　[対策]膵酵素補充療法など

異常値のでるメカニズムと臨床的意義

　血清アミラーゼの由来は，膵臓と唾液腺が主である．それぞれの臓器に特異的なアイソザイムがあり，血中では通常唾液腺型アミラーゼがやや多い．血清アミラーゼの上昇機序には，膵臓や唾液腺の①炎症や，②腫瘍，結石が引き起こす閉塞による血中への逸脱，腸からの漏出，腎からの排泄障害(マクロアミラーゼ血症，慢性腎不全)，異所性産生(腫瘍)などがある．

　低アミラーゼ血症は，膵や唾液腺の摘出後，あるいは慢性膵炎や膵癌による膵実質の荒廃によって起こる．

　マクロ