診療支援
検査

セルロプラスミン   90点
ceruloplasmin
橋本 直明
(東都春日部病院・副院長)

基準値 18~37mg/dL


測定法 ネフェロメトリー法


検体量 血清0.3mL


日数 2~4日


目的 Wilson病,Menkes病,無(低)セルロプラスミン血症の診断と鑑別診断


Decision Level

●高値(基準上限以上)

[高頻度]感染症,膠原病(関節リウマチ活動期など),悪性腫瘍,激しい運動,妊娠 [可能性]急性心筋梗塞,薬物(男性・女性ホルモン薬,フェニトイン),鉄欠乏性貧血,喫煙,乾癬,肺気腫,Duchenne型筋ジストロフィー,甲状腺中毒症 [対策]原疾患(特に感染症,膠原病,悪性腫瘍)の診断と治療.薬物使用歴,妊娠,喫煙,運動の有無.胸部X線,呼吸機能検査.皮膚所見.甲状腺機能検査

●低値(基準下限以下)

[高頻度]低栄養,肝硬変/肝細胞癌の一部,ネフローゼ症候群 [可能性]Wilson病,Menkes病(Menkes' kinky hair disease),蛋白漏出性胃腸症,吸収不良症候群,熱傷,新生児 [対策]神経所見,角膜輪,肝機能検査,毛髪異常,遺伝性の検討.血中・尿中銅測定,尿蛋白,アミノ酸測定,肝生検(銅定量を含む),肝炎ウイルスマーカーの検索.消化管検査.低栄養,慢性肝疾患の病歴


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 セルロプラスミンは肝細胞で合成される急性相蛋白質(急性相反応物質)の1つである.このため,炎症性サイトカインの産生が亢進する病態(感染症,膠原病,悪性腫瘍など)では合成が増加する.激しい運動,男性および女性ホルモンでも合成が増加する.

 一方,Wilson病では,血清セルロプラスミンはきわめて低値であり,診断的意義がある.肝での遺伝子の転写率や,mRNA量の低下がみられ,合成が低下していると考えられる.Menkes病でも肝でのセルロプラスミン合成は低下している.ネフローゼ症候群,蛋白漏出性胃腸症,熱傷では喪失によって低値となる.「銅」の項参照

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