診療支援
検査

血清β2-ミクログロブリン〔血清β2-m,血清BMG〕《血清β2-マイクログロブリン》   101点
serum β2-microglobulin
木村 健二郎
(JCHO東京高輪病院名誉院長)

基準値 1.0~1.9mg/L


測定法 ラテックス凝集免疫法


検体量 血清0.3mL


日数 2~4日


目的 腎機能障害(糸球体濾過量の低下)のスクリーニング


Decision Level

●2.0mg/L以上(増加)

[高頻度]腎機能低下(あらゆる腎疾患の可能性あり),自己免疫疾患,悪性腫瘍,肝機能低下 [可能性]臓器移植後の拒絶反応 [対策]あくまでもスクリーニングとして用いる.異常値がみられたら上記の疾患・病態を考え,精査を進める

●0.9mg/L以下(減少)

 一部の肝機能低下で低値を示すことがあるが,臨床的意義は少ない


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 β2-ミクログロブリンは分子量11,800,アミノ酸99個からなるポリペプチドで主要組織適合性抗原である.HLAクラスⅠ抗原のL鎖として全身の有核細胞の細胞表面に分布する.

 代謝経過としては,主として糸球体で濾過後,近位尿細管に取り込まれて加水分解を受ける.また,肝でも異化される.

 したがって,糸球体濾過量の低下したとき,および肝機能障害時に上昇する.

 産生の増加する免疫疾患〔全身性エリテマトーデス(SLE),自己免疫性溶血性貧血,関節リウマチ,Sjögren症候群,サルコイドーシス,AIDSなど〕や悪性腫瘍(原発性肝癌,胃癌,大腸癌,多発性骨髄腫,慢性リンパ性白血病,悪性リンパ腫など)でも血中濃度は上昇する.

 長期血液透析患者でみられる透析アミロイドーシスの原因物質としても重要である.

 主として,糸球体濾過低下の指標として臨床的に用いられてきたが,前述したように特異性は低い.現在では,糸球体濾過の指標としてより特異性の高いシスタチンCが用いられる.


判読

 特異的検査ではないので,異常高値をみたらその原因となりうる疾患や病態の診断のための検査を進める.


採取保存

 4℃に保存すれば約1週間,-20℃に保存すれば約1年間は安定である.


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