基準値
●成人:8μmol/gCr以下(クレアチニン1g当たり)(随時尿)
●東大における基準値(随時尿)を以下に示す
・男性:1.13~8.53μmol/gCr
・女性:1.51~12.23μmol/gCr
測定法 酵素法
検体量 随時尿1~2mL
日数 2~4日
目的 肝・胆道系疾患のスクリーニング
Decision Level
●10~20μmol/gCr(軽度上昇)
[高頻度]脂肪肝,慢性非活動性肝炎,急性肝炎回復期 [可能性]慢性活動性肝炎,肝癌,胆石 [対策]原疾患の診断と治療
●20~150μmol/gCr(中等度上昇)
[高頻度]慢性活動性肝炎,肝硬変,急性肝炎極期,胆汁うっ滞,肝癌 [可能性]慢性非活動性肝炎 [対策]原疾患の診断と治療,超音波による胆道系の診断,必要に応じて肝生検
●150μmol/gCr以上(高度上昇)
[高頻度]急性肝炎極期,胆汁うっ滞 [可能性]肝硬変非代償期 [対策]原疾患の診断と治療
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
胆汁酸は正常では閉鎖的な腸肝循環をしており,健常者の血中胆汁酸濃度は低く保たれている(空腹時で1~10μmol/gCr).しかし,肝・胆道系疾患時には肝細胞における摂取障害や排出障害(胆汁うっ滞)により,胆汁酸が大循環中へ漏れ出して血中の胆汁酸濃度が上昇する.血中の胆汁酸は硫酸抱合化され水溶性となり尿中へ排泄されるため,血中の胆汁酸が増加する病態においては,尿中の硫酸抱合型の胆汁酸(USBA)も増加することになる.
したがってUSBAを測定する臨床的意義は血中の胆汁酸と同様で,肝・胆道系疾患の診断に有用なことである.すなわち「尿でみる肝機能検査」といえる.血中の胆汁酸と異なり,食事の影響を受けずに随時尿で1gのCr排泄量当たりに補正することにより,検査できる利点がある.
判読
①肝・胆道系疾患の鋭敏な指標として有用.②個々の疾患の鑑別には他の検査を
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