基準値
・尿中ヨウ素排泄量:200~1,000μg/日
・血清無機ヨウ素:0.5~1.5μg/dL
測定法 原子吸光法
検体量
・蓄尿3mL
・血清1mL
日数 2~4日
目的 ヨウ素不足やヨウ素過剰の診断
NOTE 血清無機ヨウ素は現在,国内での検査受託会社はない.
Decision Level
●低値(基準値下限以下)
[可能性]クレチン症(先天性甲状腺機能低下症),ヨウ素摂取不足 [対策]海藻類摂取,ヨウ素添加食塩の使用
●高値(基準値上限以上)
[可能性]海藻類摂取,ポビドンヨード含嗽薬使用,ヨード造影剤使用 [対策]ヨウ素制限食
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
ヨウ素(ヨード,iodine)は原子番号53,元素記号Iのハロゲン元素の1つである.甲状腺ホルモンの産生に必須の物質で,不足,過剰ともに甲状腺疾患を生じる.ヨウ素過剰は甲状腺機能亢進症と甲状腺機能低下症の両方を引き起こすことがあるが,ヨウ素欠乏は甲状腺機能低下症のみを引き起こす.健康成人の体内には約15~20mgのヨウ素が存在し,このうち70~80%は甲状腺に存在する.
経口的に取り込まれたヨウ素は消化管から吸収され,血漿中でヨウ化物イオンとして存在し,能動的に甲状腺に取り込まれる.甲状腺に取り込まれたヨウ化物イオンは,チロシン残基への付加などさまざまな有機化反応を経て,甲状腺ホルモンとなる.甲状腺ホルモンから遊離したヨウ素や血漿中のヨウ素はその90%以上が尿中に排泄される.尿中ヨウ素は直近のヨウ素摂取量(吸収量)のよい指標となる.
「日本人の食事摂取基準」(2020年版)では,成人での摂取推奨量は130μg/日,上限は3,000μg/日である.日本人はヨウ素を豊富に含む海藻類を多く摂取するため1,000μg/日以上となることも珍しくない.以前より海藻の入手が困難な地域(南アジア,サハラ以南のアフリカ,南米など)では,ヨウ素欠乏が多
関連リンク
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/亜鉛欠乏症
- 臨床検査データブック 2023-2024/血清クレアチン [保] 11点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/マンガン〔Mn〕 [保] 27点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/亜鉛〔Zn〕 [保] 136点
- 臨床検査データブック 2023-2024/銅〔Cu〕 [保] 23点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/ビタミンAおよびカロチノイド レチノール
- 臨床検査データブック 2023-2024/成長ホルモン〔GH〕 GHRH負荷試験(成長ホルモン放出ホルモン負荷試験) [保] 1,200点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/プロラクチン〔PRL〕 [小][保] 98点
- 臨床検査データブック 2023-2024/バソプレシン《アルギニンバゾプレッシン〔AVP〕》《抗利尿ホルモン〔ADH〕》 [保] 230点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/サイクリックAMP〔cAMP〕 [保] 170点(包)
- 今日の診断指針 第8版/加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)
- 今日の小児治療指針 第17版/微量元素欠乏症