基準値
・血清Pb:10μg/dL以下
・尿中Pb:60μg/dL以下
測定法 血液は灰化抽出した後,尿は湿式灰化した後,原子吸光法にて測定
検体量
・血液3mL
・部分尿または蓄尿3mL
日数 4~5日
目的 Pb中毒の早期発見や曝露のモニタリング
Decision Level
●血清Pb 80μg/dL以上
[高頻度]Pbへの曝露 [対策]発生源の特定,曝露の回避とともにCa-EDTAやDMSAによるキレート療法
●血清Pb 50μg/dL以上
[高頻度]Pbへの曝露 [対策]発生源の特定,曝露の回避とともに症状がみられればCa-EDTAやDMSAによるキレート療法
●血清Pb 10μg/dL以上
[高頻度]Pbへの曝露 [対策]発生源の特定,曝露の回避,血清Pb濃度の経時的観察
NOTE 近年では血清Pb 5μg/dL以上で,曝露の可能性の検討が必要といわれている.特に小児では中枢神経系に影響のある可能性が示唆されている
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
Pb曝露による中毒には急性と慢性とがあり,血液,脳,心血管,腎臓,生殖器など多数の器官に毒性を発揮する.吸収は気道系からが最も多く,次いで消化管,また,少量ではあるが皮膚からの吸収もある.吸収されたPbは95%が骨に,その他に血液,脳,腎臓,肝臓などの軟部組織に分布する.血液中では99%が赤血球のヘムと結合している.体外への排泄の80%は腎からで,排泄は緩徐で血中半減期はおよそ30日である.静脈血Pb濃度は最近の曝露以外にも骨や軟部組織からの放出も反映している.
急性中毒では数日~数週で腹痛(疝痛),便秘,関節痛,筋肉痛,易疲労感,いらいら,睡眠障害,頭痛などの症状が出現する.症状の出現と血中Pb濃度にはある程度の関連性がみられ,40μg/dL以下では症状を呈さないことが多い.40μg/dL以上で筋肉痛,60μg/dL以上で腹部不快感や便秘,80μ
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