基準値
●血清β-カロチン
・男性:11.6~86.6μg/dL(0.216~1.613μmol/L)
・女性:30.7~163.0μg/dL(0.572~3.036μmol/L)
測定法 HPLC
検体量 血清0.6mL
日数 5~11日
目的 食事性カロチノイド過剰症の確定診断
Decision Level
●200μg/dL(3.73μmol/L)以上(高値)
[高頻度]食事性柑皮症 [可能性]肝疾患,糖尿病,甲状腺機能低下症,脂質異常症,亜急性甲状腺炎,高リポ蛋白血症Ⅰ・Ⅱa・Ⅱb型,慢性腎炎,ネフローゼ症候群,妊娠 [対策]β-カロチン摂取を中止すれば回復する.肝機能障害をきたすことはない
●10μg/dL(0.19μmol/L)未満(低値)
[高頻度]喫煙,飲酒 [可能性]高熱,肝疾患,短小腸症,腸炎,膵嚢胞性線維症,吸収不良症候群 [対策]原因疾患の治療を行う
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
カロチノイドは自然界に分布する色素の一群の総称で,黄色野菜に含まれる.一部のカロチノイドは小腸上皮細胞でビタミンAに変換されるので,プロビタミンAとも呼ばれる.α-カロチン,β-カロチン,γ-カロチン,β-クリプトキサンなどがその代表である.
糖尿病,甲状腺機能低下症ではβ-カロチンのレチノールへの転換が障害されるため,高値を示す.肝疾患では肝硬変,閉塞性黄疸で高値を示すことがある.甲状腺機能亢進症ではレチノールの消費とβ-カロチンのレチノールへの転換がともに高まるので,β-カロチンは低値を示す.
柑皮症(カロチノイドの過剰摂取により,角質層の厚い手掌,足底部などの皮膚に黄色調の色素沈着がみられる状態)では,黄疸と異なり,眼球結膜の黄染,肝機能障害は認められない.
判読
①カロチノイドは体内では合成されず,すべて摂取食物に由来する.②喫煙,飲酒,運動などで低値となる.③男性より女性が高い.喫煙,飲
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