基準値 全血総ニコチン酸:2.9~7.1μg/mL(23.2~57.7μmol/L)
測定法 HPLC
検体量 全血1.5mL
日数 11~15日
目的 ニコチン酸栄養状態の判定
Decision Level
●全血総ニコチン酸:2.9μg/mL未満(低値)
[高頻度]ニコチン酸欠乏症(ペラグラ) [可能性]Hartnup病,先天性トリプトファン尿症,ヒドロキシキヌレニン尿症(キヌレニナーゼ欠損症),カルチノイド症候群,アルコール依存症 [対策]ニコチン酸アミドの経口投与
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
ニコチン酸とニコチン酸アミドの両者をナイアシンと称する場合もある.ニコチン酸は,血中では大部分がNAD(nicotinamide adenine dinucleotide),NADP(nicotinamide adenine dinucleotide phosphate)の形で血球中に存在する.これらをすべて加水分解し,ニコチン酸として測定した値を総ニコチン酸と呼ぶ.
ニコチン酸欠乏症では全血総ニコチン酸濃度は低下する.
NADは食物中のニコチン酸およびニコチン酸アミドの他,一部はトリプトファンからトリプトファン-ニコチン酸経路を経て生合成される.したがってニコチン酸栄養状態はニコチン酸そのものの摂取量の他に,トリプトファンの摂取量の影響を受ける.ヒトではトリプトファン60mgからニコチン酸1mgが生合成される.
Hartnup病はトリプトファンの腸管吸収障害,近位尿細管における中性アミノ酸再吸収障害によって血中トリプトファン濃度の低下が起こり,日光皮膚炎,小脳性歩行障害,精神障害などのニコチン酸欠乏症状が出現するもので,尿インジカン反応陽性,中性アミノ酸の排泄増加を特徴とする.ニコチン酸投与により皮膚,精神症状は改善される.
トリプトファン-ニコチン酸経路に関連する酵素の欠損により血
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