基準値
・血漿ビタミンK1(フィロキノン):0.13~1.19ng/mL(0.29~2.64nmol/L)
・血漿ビタミンK2(メナキノン):0.04±0.01ng/mL
測定法 HPLC
検体量 血漿2.5mL
日数 3~9日
目的 ビタミンK栄養状態の判定
Decision Level
●血漿ビタミンK1 0.13ng/mL未満(低値)
●血漿ビタミンK2 0.04ng/mL未満(低値)
[高頻度]新生児(乳児)出血性疾患,著しいビタミンK摂取不足 [可能性]胆汁流出障害(先天性胆道閉鎖症,総胆管嚢腫,胆石,胆道癌),脂質吸収障害(膵嚢胞性線維症,スプルー,セリアック病,潰瘍性大腸炎,限局性回腸炎,短小腸症候群),肝疾患(新生児肝炎,劇症肝炎),抗菌薬(特にN-メチルテトラゾルチオール基をもつもの)の長期投与,大量のビタミンE,ビタミンA投与 [対策]ビタミンK1の経口投与
●1.19ng/mL以上(高値)
[高頻度]ビタミンK投与
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
葉緑体で産生されるビタミンK1(緑黄色野菜,豆類に多い)と腸内細菌,納豆菌で合成されるビタミンK2(糞便中に多量に存在する)がある.
成人では摂取不足による欠乏はまれで,吸収不良症候群,肝疾患で,抗菌薬,抗凝固薬投与など,複数の誘因が競合した場合にみられる.血清ビタミンKレベルは中性脂肪,α-トコフェロールの影響を受ける.
採取保存
早朝空腹時に採血し,直ちに遮光する.血清(血漿)は-20℃以下に凍結保存すれば2~3カ月は安定である.-70℃以下では2年間安定である.
薬剤影響
低下抗菌薬の長期投与,ワルファリン,コレスチラミンにより低下する.
測定前後の患者指導
1日の目安量は男性75μg,女性65μgである.
推奨する総説
伊藤貞嘉,佐々木 敏(監):日本人の食事摂取基準(2020年版).ビタミンK.pp192-196,第一出版,2
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