基準値 1.0~2.0ng/dL
測定法 ECLIA,RIA(固相法),平衡透析法,EIA,CLIA,FIA
検体量 血清0.3mL
日数 1~2日
目的 甲状腺機能亢進症および低下症の診断
Decision Level
●8ng/dL以上(高度増加)
[高頻度]Basedow病による甲状腺機能亢進症,無痛性甲状腺炎および亜急性甲状腺炎の病極期 [可能性]甲状腺ホルモン不応症 [対策]甲状腺クリーゼに移行するおそれがあるので,速やかに治療を開始する
●2~8ng/dL(軽度~中等度増加)
[高頻度]軽症のBasedow病,無痛性甲状腺炎,亜急性甲状腺炎,甲状腺ホルモン製剤過剰内服 [可能性]甲状腺刺激ホルモン(TSH)産生下垂体腺腫,甲状腺ホルモン不応症 [対策]さらに血中FT3,TSH,TSHレセプター抗体を測定して診断を確定させる
●0.4~1ng/dL(軽度減少)
[高頻度]慢性甲状腺炎(橋本病)に伴う甲状腺機能低下症,euthyroid sick症候群(たとえば肝硬変症,腎不全,癌末期など),低蛋白血症 [可能性]亜急性甲状腺炎および無痛性甲状腺炎の回復期 [対策]さらに血中TSHと抗サイログロブリン抗体と抗ミクロソーム抗体(抗TPO抗体)を測定し,診断を確定させる
●0.4ng/dL未満(高度減少)
[高頻度]慢性甲状腺炎に伴う著しい甲状腺機能低下症,特に粘液水腫,下垂体性(中枢性)甲状腺機能低下症 [可能性]甲状腺全摘出術後 [対策]粘液水腫性昏睡に陥らないよう,速やかにホルモン補充を開始する
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
甲状腺ホルモンは血中ではその99%以上が結合蛋白(TBGなど)と結合した形で存在している.これらの蛋白と結合しない遊離型,すなわちFT4はきわめて微量な血中濃度である.しかし,このFT4が標的細胞内に入りT3に転換した後,甲状腺ホルモン作用を発揮することを考えると
関連リンク
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