基準値 2.0IU/L以下
測定法 RRA
検体量 血清0.3mL
日数 1~4日
目的 ①Basedow病の診断,②抗甲状腺薬治療の中止時期の判定
Decision Level
●20.0IU/L以上(高度増加)
[高頻度]Basedow病(重症型),T3優位型Basedow病 [可能性]慢性甲状腺炎(橋本病)のうち甲状腺刺激阻害型抗体(TSBAb)を有する例,腺腫様甲状腺腫を伴うBasedow病 [対策]抗甲状腺薬治療では寛解に導くことが難しい
●2.0~20.0IU/L以下(軽度増加)
[高頻度]Basedow病 [可能性]慢性甲状腺炎のうち,TSBAbを有する例,亜急性甲状腺炎の一時期 [対策]抗甲状腺薬で寛解に導けるよう治療を開始する
●2.0IU/L以下(基準値)
[可能性]Basedow病の寛解期,単純性甲状腺炎,慢性甲状腺炎(橋本病),無痛性甲状腺炎,亜急性甲状腺炎,甲状腺腫瘍性病変,TSH産生下垂体腫瘍,甲状腺ホルモン不応症,医原性甲状腺中毒症 [対策]さらに甲状腺刺激抗体(TSAb)を測定して陰性であるか否かを確認する
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
本測定法はラジオレセプターアッセイなので,IgGのうち甲状腺刺激ホルモン(TSH)レセプターと結合してTSHと似た作用を発揮する抗体(甲状腺刺激抗体;TSAb),TSHとTSHレセプターとの結合を阻害してTSH作用を発現しにくくさせる阻害型抗体(甲状腺刺激阻害型抗体;TSBAb)の両方が検出される.
本抗体価が5.0IU/L以上の高値がBasedow病患者で認められた場合,抗甲状腺薬内服治療では寛解に導くことが難しいことが予測される.
本測定法が陰性を示す甲状腺機能亢進症については,Basedow病ではなく亜急性甲状腺炎か無痛性甲状腺炎の可能性が強い.
[関連する検査]
①FT3とFT4値を同時測定することにより,Basedow病
関連リンク
- 臨床検査データブック 2023-2024/甲状腺刺激ホルモン〔TSH〕《サイロトロピン,チロトロピン》 [小][保] 101点
- 臨床検査データブック 2023-2024/サイロキシン〔T4〕《チロキシン》 [小][保] 108点
- 臨床検査データブック 2023-2024/トリヨードサイロニン〔T3〕《トリヨードチロニン》 [小][保] 99点
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- 臨床検査データブック 2023-2024/抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体〔抗TPO抗体,TPOAb〕《抗ミクロソーム抗体,抗マイクロゾーム抗体》 [保]* 142点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/甲状腺刺激抗体〔TSAb〕《TSH刺激性レセプター抗体》 [保] 340点
- 臨床検査データブック 2023-2024/甲状腺刺激阻害型抗体〔TSBAb〕《阻害型TSHレセプター抗体》
- 臨床検査データブック 2023-2024/甲状腺機能亢進症(甲状腺中毒症,Basedow病)
- 臨床検査データブック 2023-2024/慢性甲状腺炎(橋本病)