診療支援
検査

頸管腟分泌液中癌胎児性フィブロネクチン《ヒト癌胎児性フィブロネクチン》   204点
oncofetal fibronectin in cervical mucus
前川 真人
(浜松医科大学教授・臨床検査医学)

基準値 50ng/mL以下


測定法 RIA,ELISA,EIA,イムノクロマト法


検体量 腟分泌物


日数 2~4日.イムノクロマト法を使用すれば,反応時間10分で結果が得られる


目的 切迫流産,腟炎,頸管炎の診断


Decision Level

●高値(50ng/mL以上)

[高頻度]切迫流産(陽性者の1週以内流産率47%,2週以内60%,累積77.5%) [可能性]腟炎,頸管炎(絨毛膜羊膜炎の2期以上),妊娠早期 [対策]顆粒球エラスターゼの同時測定


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 フィブロネクチンは,絨毛膜トロホブラスト細胞で産生され,絨毛膜と脱落膜の接触部位に存在する細胞外マトリックスの成分で,細胞接着に重要な物質である.胎児由来アイソフォームの遺伝子(mRNA)と産物(癌胎児性フィブロネクチン)は,胎児,胎盤,癌組織,羊水中に多く,血清中にも微量が検出される.癌胎児性フィブロネクチンは,妊娠していない女性や妊娠22週以上で卵膜に障害のない妊婦の腟分泌液中ではほとんど検出されないが,細菌感染や物理的要因による卵膜の損傷や脆弱化があると羊水から腟分泌液中に漏出し,それを検出することで卵膜の異常による早産や切迫流産の危険性を把握することに役立つ.


[感度・特異度]

 流早産症例での感度は顆粒球エラスターゼに劣るが,特異度に勝っている.


[見逃してはならない異常値]

 流早産の徴候のある妊婦で測定し,50ng/mL以上を陽性とする.高ければ高いほど,羊水の混入が疑われ切迫流産の可能性が高い.


[関連する検査]

①炎症の原因を検索するために,淋菌rRNA,クラミジア・トラコマチスIgG,クラミジア・トラコマチスIgA,クラミジア・トラコマチス抗原,クラミジア・トラコマチスDNA,B群溶連菌培養などを適宜選択する.②同様の意義のある検査として子宮頸管粘液中顆粒球エラスターゼ,腟分泌液中インスリン様成長因

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