診療支援
検査

WT1 mRNA   2,520点
杉山 治夫
(大阪大学大学院特任教授)

基準値

・末梢血:50コピー/μgRNA未満(検出下限)

・骨髄液:設定なし


測定法 定量リアルタイムRT-PCR法


検体量 RNAとして1μg(目安として全血7mL,骨髄液1mL)


日数 3~7日


目的 ①急性骨髄性白血病(AML)症例または急性リンパ性白血病(ALL)症例の微小残存病変(MRD)モニタリング,②骨髄異形成症候群(MDS)症例の診断補助・進行度モニタリング


Decision Level

●基準値以上

[高頻度]AMLの再発,AMLのMRDの存在(末梢血:50コピー/μgRNA以上),AMLの分子再発(末梢血:200コピー/μgRNA以上,骨髄液:1,300コピー/μgRNA以上).不応性貧血(RA)と再生不良性貧血(AA)の鑑別診断のカットオフ値(末梢血:50コピー/μgRNA,骨髄液:500コピー/μgRNA),MDSの早期AML移行のハイリスク(末梢血・骨髄液ともに10,000コピー/μgRNA),ALLの寛解の判定の参考基準値(末梢血:220コピー/μgRNA,骨髄液:1,820コピー/μgRNA) [可能性]AMLの化学療法後の急激な骨髄回復期,G-CSF投与後など [対策]骨髄液採取による芽球率などの検査.2~4週間後再度末梢血mRNA測定や他の関連する検査結果,臨床症状などに基づき,総合的に判断する


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 Wilms腫瘍遺伝子WT1は,癌遺伝子様の機能を果たし,細胞増殖を促進し,アポトーシスを抑制し,細胞骨格蛋白の発現制御を介して細胞の運動能を促進させる.WT1は,造血細胞をはじめ各正常臓器の前駆細胞に発現し,この前駆細胞の増殖に重要な働きを果たしており,分化に伴ってWT1の発現は消失する.この前駆細胞でのWT1の発現のdown-regulationが何らかの原因で起こらなかったとき,WT1が持続的に発現し,その前駆細胞は癌化の第

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