診療支援
検査

白血球の細胞化学的検査 PAS(パス)染色  
periodic acid Schiff stain
神田 善伸
(自治医科大学教授・内科学講座血液学部門)

基準値 染色のみ


測定法 簡便法


検体量 末梢血または骨髄血の塗抹標本2~3枚


日数 2~7日


目的 赤白血病(AML-M6)の診断など


NOTE‍ 保険点数:①27点を加算〔末梢血液像(鏡検法)25点に対して〕,②40点を加算(骨髄像788点に対して)


Decision Level

■異常を認める疾患

[高頻度]急性リンパ球性白血病(ALL),赤白血病(AML-M6),悪性リンパ腫 [対策]原疾患の診断と治療

■判定

 陽性反応は細胞質内に赤色の,びまん性または顆粒状を呈する.細胞により陽性顆粒の現れ方(反応顆粒の大きさ,配列状態)に著しい差異が認められる

●リンパ球系細胞

 ALLでは粗大顆粒状または帯状に染まる.健常者の陽性率は1~4%で滴状である

●顆粒状系細胞

 骨髄芽球はほとんど陰性.陽性の場合はびまん性または微細顆粒状である.骨髄球~成熟好中球はびまん性強陽性.好酸球,好塩基球はびまん性陽性

●単球系細胞

 びまん性弱陽性で,単芽球は陰性から微細顆粒状まで多彩である

●血小板,巨核球

 びまん性または顆粒状である

●赤芽球系

 正常赤芽球は陰性.赤白血病(AML-M6)に出現する巨赤芽球様細胞はびまん性から顆粒状の陽性を示す


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 白血病細胞の芽球をリンパ性か,骨髄性,単球性に鑑別する.急性リンパ性白血病では粗大顆粒状または帯状を呈する.しかし,この点での診断的意義はミエロペルオキシダーゼに劣る.

 赤白血病(AML-M6)に出現する巨赤芽球様細胞は陽性となり,巨赤芽球性貧血との鑑別に有用であるが,細胞表面マーカー,他の細胞化学染色などの充実により,臨床的重要性は薄らいできている.

NOTE‍ 測定原理

 血球内の多糖類に含まれるグリコール基が過ヨウ素酸によって特異的に酸化され,2分子のアルデヒド基を生成する.2分子のアルデヒド基がSchiff試薬と反応して赤色の色素を形成す

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