基準値 1%以上
測定法 フローサイトメトリー(FCM)
検体量 血液(ヘパリン加)3.0mL
日数 2~4日
目的 発作性夜間血色素尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria;PNH)の鑑別診断,異常クローンサイズの評価のため,2種類のモノクローナル抗体(主にCD55,CD59)を用いて,赤血球および白血球の表面抗原探索を行う
Decision Level
●CD55,CD59欠損血球1%
[高頻度]PNH(PNHタイプの血球ありとの判断)
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
PNHは,造血幹細胞でのPIGA遺伝子の体細胞突然変異を原因とし,溶血性貧血,深部静脈血栓症,骨髄不全を3主徴とする血液疾患である.PIGAは,細胞膜上に蛋白を係留する糖鎖と脂質であるGPI(glycosyl-phosphatidyl-inositol)アンカー生合成に必須の遺伝子で,X染色体上にあるので,女性でも発生初期のX染色体不活化により,1本のアリルの体細胞変異で,その細胞のすべてのGPIアンカー型の蛋白質(GPIAP)を欠損する.GPIAPであるCD59,CD55はそれぞれC8/C9,C3/C5に関連する補体による傷害から細胞を守る補体制御因子である.欠損すると血管内溶血する.PNHの治療薬エクリズマブは,補体成分C5に対するモノクローナル抗体で,補体による血管内溶血を阻害する.したがって,血球細胞表面上でGPIAP陰性血球を検出することがPNH診断上重要であり,主にCD59,CD55に対するモノクローナル抗体カクテルを用いてFCMで行うことが推奨され,保険収載されている.
一方,再生不良性貧血(AA)の40~60%においてもこのGPIAP欠損血球が検出され,AAの経過中にPNHを発症する症例(AA-PNH症候群)が知られている.また骨髄異形成症候群(MDS)においてもP
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