診療支援
検査

エリスロポエチン〔EPO〕   209点(包)
erythropoietin
神田 善伸
(自治医科大学教授・内科学講座血液学部門)

基準値 8~30mU/mL(施設・測定キットにより若干異なる)


測定法 RIA


検体量 血清または血漿0.5mL(抗凝固剤はEDTA-2Na)


日数 5~7日


目的 貧血,多血症の鑑別診断


Decision Level

●高値(増加)

[高頻度]再生不良性貧血,赤芽球癆,酸素分圧の低下する病態(肺疾患,動静脈シャントのある心疾患などは多血症を伴う) [可能性]各種貧血(貧血の程度に応じてEPO値が上昇する),EPO産生腫瘍(肝癌,小細胞性肺癌,小脳腫瘍など) [対策]原疾患の診断と治療

●低値(減少)

[高頻度]腎性貧血(腎臓がEPO産生臓器であるため),真性多血症(基準範囲の場合もある) [対策]原疾患の診断と治療


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 EPOは,血液酸素分圧を感知して,腎臓で産生され,赤血球造血に対する造血因子である.

 貧血の場合,その程度に応じて,EPO値が上昇する(図74)が,腎性貧血の場合,上昇しない.腎性貧血の場合,高度の貧血があるにもかかわらずEPO値が基準範囲という場合がある.

 多血症は,相対的多血症と絶対的多血症に分けられ,後者には,心肺疾患に伴うもの,真性多血症,EPO産生腫瘍などが含まれ,その鑑別はEPO値と酸素分圧を測定することで可能である.循環血漿量の減少による相対的多血症ではEPOは増加しない.


判読

①基準値は貧血がない場合のもので,貧血がある場合,当然EPO値は増加する.②腎性貧血では上昇すべきEPO値が上昇しない.したがって,必ずしも低下はしない.③多血症の鑑別に有用.④EPOによる治療のモニターにはEPO測定は必要ない.⑤骨髄異形成症候群に対して赤血球造血刺激因子を投与する際の血清EPO濃度500U/L未満であると奏効しやすい.


採取保存

 凍結保存.


薬剤影響

 薬剤として投与されたEPOも測り込むので,投与中は内因性EPO値は測定できない.


保険注意

 

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